この日も生憎の雨。まだ熱が下がっていないうえ、鼻水もとまらなかったので、昨晩フィラデルフィア空港で買った風邪薬を再度投与。宿泊先からバスで向かったが、アメリカのキャンパスの広さを舐めてかかった結果、ハーバード大学の敷地の端にあるHBSに辿り着くのに時間がかかり、あわや遅刻という事態となってしまった。
授業開始間際にMBA友の会を通じて友人となったコンサルティング会社M社派遣の在校生と無事合流でき、ざっくりとHBSの基本情報を収集した。
・一学年当たり例年900人。内日本人は今年は12人。
・1クラス90人×10クラス
・1年目はCoreのみ(Electiveなし)、2年目はElectiveのみ
・教室は通年固定(教授が毎時間来てくれる)、席はセメスターごとにシャッフル
・International比率は約3割。Internationalの約7割はアメリカの高校・大学の教育を経験(留学または卒業)
・各クラスから1名ずつ、全6名のLearning teamがアサインされる。HBSは900人に全く同じペースで教えるため、別のクラスの者を集めることにより著しい認識の乖離等をスクリーニングした上で授業に臨む仕組み作りをしている。各自予習したその日の授業内容を毎朝1時間シェアしてからそれぞれのクラスに散っていく
・HBS敷地内にある寮から校舎まで徒歩3分程。地下通路で繋がっているので、冬に雪で埋もれても通学には何ら支障がない(それだけ勉強にどっぷり漬かれという意味か、苦笑)
・週に一度はパーティやイベントがある
この日のスケジュールは午前中に彼の授業2つを聴講し、1年生日本人在校生とのランチ、午後はキャンパス内をぶらり巡って、Kennedy校(公共政策大学院)へ。Kennedy校での話は後日別口で書いておこう。その後コンサルの友人と2人で軽く夕食、というHarvardづくしな一日だった。
というわけで、授業内容。一緒に教室の写真もご覧あれ。
【Technology & Operation】
製造業の生産工場において、製造の流れ(ライン型/セル型)、一人当たりの業務範囲などをどう設定するかを考察するのがこの日のテーマ。この日はシュミレーションという変則的な時間割で、午後から翌日まで時間を使い、工場を模した会場でモノづくりを実際に行う日だった。テーマに沿ったケースが予め学生には与えられてあり、教授が学生のファシリテートを行い、ディスカッションが繰り広げられた。まさにイメージしていたHBS!というほど活発かつ鋭い意見のぶつかり合いがそこにはあった。
【Finance】
事前に配布されたケースが「貧困層向けビジネスから利益を獲得することは倫理的か?」をテーマだった。貧困層に無償でサービスを提供する場合と収益を獲得する場合を想定し、インフレ率と割引率の設定を変化させることでDCFがどう動くかを見ながら、企業としてどこまで貧困層ビジネスに着手すべきかを考える授業だった。ファイナンスというと、難しい数式が出てきて、複数の企業の財務状況を比較・分析する類の授業をイメージするが、HBSでは経営判断を下すにあたってのツールとしてファイナンスを捉えているとの印象を受けた。
【日本人在校生とのランチ】
授業を2つ終えたところでランチ。食堂があまりに品がありすぎて若干気遅れしてしまう程だった。日本人がStudy roomを押さえてくれていたので、そこで話を伺った。話は主にエッセイと英語力についてだった。
一部の突出した人材は既に会社を起業→上場→Exitしたとか一兆円クラスのM&Aディールで中心的な役割を果たしたなど、とても敵わないネタを持っているが、大抵は大組織の中で普通に働いてきただけだ。規模で勝負をすると先の一兆円案件の様な話を持ち出す輩に競り負けてしまうので、個別の環境下でいかに自分がチームに働きかけて動かし、結果を残したかが語る方がよほど良いとのことだった。また日本人は謙虚すぎる傾向があるので、5割くらい話を盛ると丁度良いのアドバイスがあった。
<エッセイ:Leadership>
未来のビジネスリーダーを養成するHBSでは、学校に入る以前からリーダーシップを発揮している人材を求めており、自身がリーダーシップをどう発揮したのかを論じる必要がある。日本人の典型的なタイプは「縁の下の力持ち」タイプで、羊飼いが群れを後ろから目指す方向へ誘導するといった例と一緒に用いられることが多い。これはHBS的に言うと、NGとのこと。ただでさえ控え目と思われている日本人が、日本人の中でも控え目でいたのでは、もしクラスにEnrollされても灰汁の強いHBS学生を前にShrinkすることが多いに懸念され、結果的に落とされてしまうのだという。カリスマ的なリーダーシップを発揮できる人間ならそれを書けばいいし、もし縁の下の力持ちがあり姿ならば、チームメンバーの考えを理解し纏める許容力と統制力のあるタイプであると書いた方が受け入れられるとのことだった。
<エッセイ:過去から一貫したストーリー>
通常のスクールではエッセイに書くネタは直近3年以内とするのが一般的だが、HBSでは過去からの一貫性を問われる様で、小学生から今までの成長過程と、それが今のキャリア形成及びHBSへApplyする一因になっていることを盛り込む必要があるとのことだった。
<英語力:会話能力>
ケーススタディは議論を経て形成されるため、アメリカ人とナチュラルスピードで議論を重ねられる英語力が求められており、Internationalの学生には、TOEFLハイスコアが当然と求められている。109点が足切りで、特にSpeakingの点数が重視されるとのことだが、今年の1年生ではSpeakingスコアが20点の方もいて(ReadingとListeningは満点!!)、TOEFLの内訳における足切りはないはずと言っていた。
【日本人在校生との夕食】
風邪で辛いながらもKennedy校の方と一杯やってしまい体力を蝕まれつつ、HBSの友人と夕食をする予定だったので、気力を振り絞って向かった。
友人も風邪をひいており(そういえばクラスでも咳をしている人がたくさんいたな・・・)インド料理屋でのカレーを食べたが、これまたアメリカンサイズだったので食べきれなかった。インド料理をつまみながら話した内容で特に印象的だったのは、HBSが何でもケーススタディに仕上げてしまうところ。
<iPhone事例>
AccountingでiPhoneのケースを扱う。iPhoneには機器販売後にOSアップグレードがあるため、売上の計上タイミングを3年に亘って行わなければならなかった。Appleとしては販売した年に売上を認識したいと考えており、何かしらのアクションを取らなければならなかった。さて、あなたがAppleのCEOなら、何をするだろうか?これがケース。販売手法を変える、製品に調整をかける、法律を変える等、対応策は複数考えられるだろう。答えはこうだ。Appleはロビー活動をして自社の主張を唱え、最終的には販売した当該年度に売上計上することに成功したのだった。このケースを聞いて「なるほど!」と思った。というのは、Accountingというルールに忠実な分野は、一定の知識を整理して終わりかと思っていたが、HBSでは「経営者としてAccountingに係る経営課題を認識したときに、どう判断・対応するか」という高い視点から学問をとらえていた。
と、こんなところだ。プライベートの諸々の話もしながら、夕食を終えた。
HBSでの一日を通して思った感想を率直に書くとこうだ。
・緊迫感があり落ち着かなかった
・今の自分ではここで議論をできるレベルに程遠いことを痛感しテンションがかなり下がった
何だかネガティブ感が漂っているがこれが現実。去年のちょうど今頃、思いつきで西海岸にビジットしStanford GSBの授業を聴講したとき、英語はあまり聞き取れなかったが、ビジネススクールでのOpportunityに感動し、意気揚々と帰国してきた。今回は実際に留学する気構えで、授業に自分も参加していることをリアルにイメージしながらのビジットであったから、現実問題としてこの環境でSurviveできるのかという不安(というかむしろ恐怖感)を覚えたのだと思う。まぁ要はHBSのレベルの高さに正直ビビってしまったわけだが、ここで戦うことで限られた時間の中での深い思考能力と判断力は相当に訓練され養われることは理解できた。
Kennedyスクールは後日アップする。

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