2015年夏(Class of 2017)からの米国MBA留学を目指す、某仕事人の軌跡

2010年10月12日火曜日

Wharton ビジットレポート

10月2日土曜にニューヨークに到着後、超速で観光し、10月3日にPhiladelpiaへ移動。翌4日はWhartonビジットに一日を充てた。

10 月4日、まだ時差ボケが残っている様で、朝5時には目覚めてしまった。ベッドでじっとしてもいられず、活動開始。ユースホステルから地下鉄で15分ほどで Wharton最寄りの34th駅に到着。キャンパスエリアが広く、Whartonを発見するまで20分程かかった。





カ フェで一休みし、8:30にはアドミオフィスに到着。「荷物は預けて、リラックスしてください。」と優しい黒人のオフィサーが気遣いをしてくれた。9時前 に学生がオフィスにやって来て、自分を含む数人のVisitorをエスコートしてくれ、教室へ。授業に2つ出席し(授業内容とその感想は以下にまとめて書 いておく)、その後キャンパスツアー、ランチ、午後も授業に出席と、充実したVisit programだった。





【International corporate finance】
選択授業だったようで、出席者は7人程。思い切りハズレの授業を選んでしまったかと一瞬思ったが、授業内容はヘッジに関わるもので、ちょうど仕事でも接点があったため、興味深く聞いた。

ヘッ ジをかけなかったがために大きな損失を被った例、ヘッジをかけていたために莫大な利益を獲得した例を挙げイントロダクションを行った。次いで為替ヘッジを 用いて、2年以上のヘッジ取引を行う場合と、毎年ロールオーバー(1年ごとにヘッジ取引を更新)する場合の差異を説明し、ヘッジコストの比較を行い、具体 的なヘッジ取引の手法を解説するという内容だった。さすがファイナンススクールと言われるWhartonだけあり、プレゼン資料に平気でΣなどの数式が並 べられ、実際に計算も行われていた。

【Investment management】
実 務的に投資先をいかにマネジメントするかという点にフォーカスした授業かと想像していたが、ポートフォリオ構築に関するセオリーを学ぶ授業であった。証券 アナリストで既に学んだ内容だったので何を説明しているかは理解できた。これまた数式が次々と登場し、もはやスクールカラーの様に思えた。

【Venture capital & Entrepreneurial management】
聴講許可を取らずにしれっと座っていると、教授から呼び出され、「許可を取らずに居座るとは何事だ!今すぐ出てってくれ!」と厳しい顔つきで言われたが、苦し紛れに弁解したところ嫌々許可をくれた。

テー マはVenture企業買収の際のTerms交渉に当たってカバーすべき点についてであった。主要な項目はストックオプションの設定、IPO時の条件など 買収先企業のインセンティブ設定に関わるもの、希薄化防止や拒否権の獲得など投資家の権利及び投資資金保護に関わるものだった。Venture Capitalはこれら条件をハードネゴシエートして初めて買収に至るのであり、この過程については良く学んでおくように、とのメッセージがあった。

それにしても、厳しいオッサンだったなぁ。。。

【Lunch with Students】
実はこのセッションでは、英語力不足からほとんど内容が理解できなかった。このQAができずに留学したらどうなる!?と自分に憤りを感じつつも、時間は過ぎてしまった。

【日本人在校生とのCoffee Chat】
2 年生8人程、1年生6人程が入れ替わり集まってくれ、「Wharton=金融=ドライ」のイメージがだいぶ和らいだ。在校生のバックグラウンドは国内証 券、外資証券、総合商社、会計事務所、政府系金融機関、外資PE、起業家と、金融寄りの方が多く、男女比は6:4ほどだったと記憶している。特筆したい2 つのトピックを後ほど触れるとして、その他一般的な情報を以下列挙する。

・Whartonは米国内のReputationはHBS、Stanfordに次ぐTop3校として君臨しており、ブランドネームの威力は相当程度ある
・ペンシルバニア大学の他学部との単位交換プログラムが充実しており、ビジネスの視野以外も広められる。
・Core授業は1年生を通してあるが、Waiveが可能なので自分が既に知っている分野はスキップしてその分Electiveに充てられる。ただし、1年生のクラスでネットワークが形成される場合が多いので、過度のWaiveは控えるべき。

と、こんなところ。特筆したいトピック2つは以下。

◆PEはフィナンシャルインベスター
自分がMBA留学を志願する大きな動機の一つに、投資と事業経営をきちんと学び、投資先企業のValue Upを図れる人材になりたい、というのがある。今の総合商社の「事業投資」と呼ばれるビジネスモデルは投資した企業へ人を派遣し事業改善を行うというもの で、今の環境で「投資と投資先Value Up」をできない訳ではない。しかし、Value Up(再生も含む)のプロがいるわけでもなく、日系企業であるがゆえにドラスティックな経営改革をする様な雰囲気でもない。事業会社やコンサルティング ファームからプロを募ったPEファンドなら、それができるのではないか。

この仮説を米国大手PEファンドのカーライル出身者にぶつけてみ た。すると答えは、「Value UpはPEファンド(ことカーライルにおいては)の仕事の範疇ではない。」だった。理由はこうだ。米国本社でのインターンのこと。大手PEファンドともな ると案件の持ち込みが多く、多い時は1日5件も案件が舞い込んできて、それらの投資判断をするために時間はあっという間に過ぎてしまう。手間暇かかる案件 のValue upにかける時間はないのである。

一方日本では米国に比べればハンズオンで経営に携わるケースも多いと言われているが、こ れはPE産業が未発達であり投資案件が少なく、やることがないがゆえに経営にあれこれ口を出しているに過ぎない、との説明があった。「やることがないから (暇つぶしに)Value Upをやる」という考えは納得いく気がする半分、意気消沈が半分であった。

◆グローバルなドメスティックビジネスか、ドメスティックなグローバルビジネスか
日 系企業→MBA→外資系企業という、いかにもよくあるキャリアパス。ここには注意しなければならないことがある。この手のキャリアパスを目指す人には、大 きく2タイプがある。海外で働きたい、もしくは多国籍な組織で働きたいという「グローバル志向型」と、年功序列に縛られない成果報酬と昇進が当たり前の 「実力主義志向型」の2つだ。

後者は基本的に問題ない。外資系企業に行けば年齢など関係なく(経験や積み上げてきた人脈を使って高いパフォーマンスを出す人は勿論いるが)、実力に応じたポストが与えられていく。イメージ通りだ。

実 は前者が厄介者だ。「普段から働く同僚が多国籍、働く場所も本社支社問わず世界中のどこでも可能性がある、将来はアジア、欧米、中東どのManaging Directorにもなる可能性がある」そんなイメージのもと、MBAの経験をレバレッジして外資系(例えばマッキンゼー米国本社、P&G米国本 社など)に移籍したいと考える人は多いだろう。実際自分もそう思っていたし、今でもその可能性の有無を見極めたいと思っている。

だが、 MBA関連で会った多くの日本人に聞くと、口を揃えたように「米国社会で生きてきた日本人で、実質的なアメリカ人でない限り、米国本社で働くのは難しい」 という。となると可能性としては、外資系の日本支社に勤務するということになる訳だ。日本支社はあくまで「日本」支社であり、基本的には日本の顧客(外資 系日本法人も従業員のほとんどが日本人であろう)と対面することになるから、社内の同僚はグローバルだとしても、ビジネス上はドメスティックとなってしま うのだ。

稀に出張または短期派遣などで米国本社や世界各国で働く機会はあっても、米国本社に栄転し本社経営陣にのし上がっていくというス トーリーは、あまり考えない方がいいのではないか。一方自分は総合商社に勤務している。コロンビアへの短期派遣を経て得た持論は、総合商社は「グローバル なドメスティック企業」であるということ。世界中に拠点があり、海外とのビジネスは無数にあるが、海外駐在員の仕事の進め方は極めて日本的で、日本式の意 思決定を行い、生活も日本人を中心として回っている。数年後には日本に帰るのが前提。

このトレードオフに悩まされるが、理想的には外資系企業に勤め、世界中でビジネスをできる機会はないだろうか?こんな意見に対するフィードバックをWharton在校生に求めてみた。返ってきたのは以下。

外資系PE大手K社(日本支社)出身者:日本で生まれ育った日本人が米国本社に入れる確率はゼロに近い。人生の半分くらいをアメリカで過ごし、バイリンガルで米国文化を理解し、相当頭が良くて初めて採用される可能性が出る、というくらい道は険しい。

総合商社M社出身者:確かに総合商社は今後も日本人の純血組織を相当年数続けるだろうから、真のグローバル企業にはなってゆかないだろう。ただし、グローバ ルな環境で働きたいなら、出資先の企業に出向してしまえば実現できるとは思う。あなた(筆者)が言うグローバル企業でのグローバルビジネスは、例えばGE なら実現できるかもしれない。GEにはMBAホルダー向けに経営幹部候補生として迎える制度があり、まずは米国本社含む世界各国で研修を行い、将来的には 出身地域(日本人ならアジア)のDirectorになることを目指す、といった内容だ。やりたい事業と一致しているか不明だが、検討をしてみてはどうだろ うか?

外資系PE大手M社(日本支社)出身者:「外資系企業&ドメスティックビジネス」「日系企業&グローバルビジネス」のトレードオフ はまさにあると思う。自分がいた外資系中小PEは、典型的な外資系企業&国内ビジネスだった。探せば自分の理想とする「外資系企業&グローバルビジネス」 の組み合わせを実現できる企業があるはずだと思う。よく会社のことを調べてみてほしい。

総合商社S社出身者:確かに一般論でいえば、筆者の言うトレードオフはあるのとは思う。しかし、自分次第でいくらでも変えられると思う。採用の段階からその話をすれば、グローバル志向が高い人間として迎 えられるかもしれないし、自分もそれにフォーカスして仕事をして結果を出せば、自然とグローバルビジネスにInvolveされる機会が増えてくるだろうから、固定観念に縛られず考えたらいいのではないか。

なるほど、どの意見も非常に参考になった。ここまで議論を重ねて「自分は誰のために働 きたいのか?」という大きな軸を明確にする必要があると痛感した。結局は日本のために働きたいなら「外資系企業&ドメスティックビジネス」「日系企業&グ ローバルビジネス」のどちらでも実現できるはずだし、世界のために働きたいなら「外資系企業&グローバルビジネス」を目指せばいい、という点に帰着するの ではないかと思った。そこがブレているなら、まだ受験するには甘いですね、と自然と話すと、在校生からは「エッセイ上は勿論その点固めていないとダメだけ ど、実際はそういう問題意識への解を見つけるのと同時並行で留学準備を進めていいと思うよ。留学までに解が見いだせれば留学中はその方針に従って走ればい いし、見いだせてなくても留学中に全く異質の考えや情報が入ってきて変わる可能性は大いにあるし。」との温かい言葉を頂いた。

この議論は深淵で、今後の人生を大きく左右する重要なポイントだと思う。時間をかけて考え続けよう。


という訳で、初日から濃いビジットツアーが始まった。生憎の雨で気温が低かったせいか、体がだるくどうやら風邪をひいてしまったようだったので、Boston行きの飛行機待ちの時間に解熱剤を投与して、この日は乗り切ることにした。



人気ブログランキングへ


↑本Entryが面白かったら1クリックをお願いします!


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。